寝つきをよくする方法:今夜から試せる習慣とテクニック
眠りをオンにするスイッチはありませんが、眠りが訪れやすい環境や状態を整えることはできます。このガイドでは、寝室で見直せること、寝る前の1時間の過ごし方、布団に入ってからのコツを紹介します。それぞれの方法について、どのくらい科学的な裏付けがあるのかも正直にお伝えします。
ポイント
- 眠ろうと追いかけるほど、眠りは遠ざかります。無理に眠ろうとせず、リラックスすることを目指しましょう。
- 涼しくて暗く静かな寝室と、穏やかな就寝前の1時間は、どんな裏ワザよりも眠りを助けてくれます。
- ゆっくりした呼吸、漸進的筋弛緩法、気をそらすテクニックは、考えごとで頭がいっぱいのときに心を落ち着かせる助けになります。ただし、それぞれ根拠の強さは異なります。
- 長時間眠れないときは、いったん布団を出て、眠くなるまで静かに過ごしましょう。眠れない状態が続く場合は、医師に相談してください。
「眠ろう」と頑張るほど眠れなくなるのはなぜ?
眠りは、心と体が十分に落ち着き、力が抜けたときに自然と訪れるものです。思いどおりに「する」ことはできません。布団の中で時計を見ながら明日のことを心配していると、脳は覚醒してしまい、必要な状態とは正反対になります。
そのため、効果的な方法の多くは間接的に働きます。緊張や興奮を下げ、時間を確認したくなる気持ちを減らし、「眠れない」という問題よりも穏やかなものに意識を向けさせてくれるのです。不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)を行う睡眠の専門家も、この考え方をとても重視しています。
今夜は控えめな目標にしてみましょう。心地よく体を休めて、眠気が来るのを待つだけで十分です。プレッシャーを手放すことが、最初の大切な一歩になることも多いのです。
眠りやすい寝室環境をつくる
多くの人は、涼しくて暗く、静かな部屋でよく眠れます。暑く感じる場合は、薄手の寝具にする、扇風機を使う、エアコンの設定温度を少し下げるなどを試してみましょう。遮光カーテンやアイマスクは、街灯の明かりや早朝の日差しを遮るのに役立ちます。音が気になるなら耳栓も有効です。
周囲の音を自分ではどうにもできない場合は、一定の音を流しておくと、突然の物音が気になりにくくなることがあります。ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズ、雨の音、扇風機の音などを好む人が多いようです。ただし、音と睡眠に関する研究は結果が一定せず、まだ発展途上です。役立つと感じる人もいれば、そうでない人もいるので、まずは試してみるくらいの気持ちでどうぞ。音量は小さく、心地よく感じる程度にしましょう。
明るく光る機器や点滅する機器は目に入らない場所に移し、時計は自分のほうに向けないようにしましょう。夜中に時間を確認すると、「あと何時間眠れるか」と計算し始めてしまい、不安につながりやすくなります。
寝る前の1時間は、意識してゆったり過ごす
脳には、「一日が終わる」というはっきりした合図が必要です。照明を落とす、仕事を片づける、紙の本を読む、ぬるめのお風呂やシャワーを浴びる、軽くストレッチをする、心地よい音を聴くなど、穏やかで単調なことをしてみましょう。毎晩だいたい同じ順番で行うと、そのうちそれらが「眠る前の合図」として馴染んでいきます。
ニュース、メール、SNS、ゲームなど、頭が働き続けてしまう画面には注意しましょう。明るい光も一因ですが、考えたり反応したり、「あと1分だけ」とスクロールしたくなる内容のほうが、影響は大きいことが少なくありません。スマートフォンを使うなら、受け身で見られる刺激の少ないものを選びましょう。
頭が忙しいときは、布団に入る前に、明日のやることリストや頭にある気がかりを紙に書き出してみましょう。考えを紙に移すと、休もうとするときにそれほど切迫して感じなくなることがあります。
布団に入ってから試したいテクニック
ゆっくりした呼吸。息を吐く時間を長めにしてゆっくり呼吸すると、体が落ち着いた状態に向かいやすくなります。よく知られている方法には、4-7-8呼吸法(4秒吸う、7秒止める、8秒吐く)、ボックス呼吸(吸う・止める・吐く・止めるを同じ秒数で行う)、生理的ため息(鼻から2回吸って、長く息を吐く)があります。これらの呼吸パターンが睡眠に与える影響を直接調べた研究は限られています。それでもリスクは低く、落ち着くと感じる人は多いです。息を止めるのがつらい場合は、止めずに、吐く息をゆっくり長くするだけで構いません。
漸進的筋弛緩法。足先から顔まで、順番に体をたどっていきます。それぞれの部位に数秒ほど軽く力を入れてから、ふっと力を抜き、その違いを感じ取ります。このようなリラクセーション訓練は、睡眠の悩みに対する方法のなかでも比較的よく研究されており、CBT-Iの一部として取り入れられることも多くあります。ボディスキャンも似た方法で、力を入れずに、体の各部位に順番に意識を向けていきます。
気をそらすテクニック。考えが堂々巡りしてしまうときは、退屈で害のない作業を頭に与えてみましょう。「コグニティブ・シャッフル」と呼ばれる方法では、適当な単語を一つ思い浮かべ、その文字ごとに違う物をイメージしていきます。穏やかな物語やガイド付き瞑想を聴くのも、同じような役割を果たしてくれます。たとえばiPhoneとiPad向けのアプリ「Sleepy: Sleep Sounds」には、スリープストーリー、睡眠のためのガイド付き瞑想、6種類の呼吸エクササイズのほか、音をゆるやかにフェードアウトするスリープタイマーが備わっています。
なかなか眠れないときは、いったん布団を出る
長い時間眠れずに横になっていると感じたら(目安は20分ほどといわれますが、時計を見ずに体感で判断しましょう)、布団を出て、薄暗くて静かな場所に移りましょう。本を読む、洗濯物をたたむなど、穏やかなことをして、眠くなってから布団に戻ります。
この方法は「刺激統制法」と呼ばれ、CBT-Iの中心となる考え方のひとつです。布団を「寝返りを繰り返してイライラする場所」ではなく「眠る場所」として脳に結びつけ直すことが狙いです。直感に反するように感じるかもしれませんし、変化を実感するまでに数日かかることもあります。
この時間に、仕事を片づけたり、たくさん食べたり、明るい場所でスマートフォンを見たりするのは避けましょう。あくまで退屈に過ごすのがコツです。必要に応じて繰り返してください。
今夜を楽にする、日中の習慣
日中の過ごし方は、夜の寝つきに影響します。できれば朝に日光を浴び、休日も含めて毎日だいたい同じ時刻に起きるようにしましょう。決まった時刻に起きることは、睡眠のリズムを整えるうえで最も確実な方法のひとつです。
カフェインは体内に何時間も残ることがあるため、就寝のかなり前から控えましょう。お酒は最初のうちは眠気を誘うことがあっても、夜の後半に眠りを妨げやすくなります。適度な運動は、一般に睡眠によいとされています。昼寝をする場合は、短く、早い時間にとどめましょう。
夜ほとんど毎日寝つけない、あるいは眠り続けられない、その状態が数週間続いている、大きないびきをかく、夜中に息が詰まって目が覚める、日中に強い眠気がある、といった場合は、医師に相談してください。睡眠の問題が続く背景には、医学的な原因が隠れていることもあります。慢性的な不眠には、専門の訓練を受けた医療者によるCBT-Iが、確立された選択肢のひとつです。
よくある質問
一番早く眠れる方法は何ですか?+
全員に効く方法はひとつもありません。涼しく暗い部屋、穏やかな就寝前の時間、そして布団の中でのゆっくりした呼吸や漸進的筋弛緩法など、いくつかを組み合わせるのが効果的です。それでも長い間眠れない場合は、横になったまま頑張るよりも、いったん布団を出たほうが役立つことが多いです。
4-7-8呼吸法は本当に効果がありますか?+
睡眠に対する4-7-8呼吸法そのものを直接調べた研究は限られています。ただ、息を長く吐くゆっくりした呼吸は、リラックスを促す方法として広く使われており、落ち着けると感じる人も多いです。試してみる価値はありますが、息を止めるのがつらいときは、無理せずゆっくり呼吸するだけにしましょう。
音を流したまま眠っても大丈夫ですか?+
雨の音や扇風機の音、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズなどを、気になる物音を和らげるために使う人は多くいます。ただし、効果については研究結果が一定しないため、自分に合うかどうかを確かめてみてください。音量は小さめにして、スリープタイマーで自然に消えるようにするのもおすすめです。Sleepy: Sleep Soundsには、音をゆるやかにフェードアウトするタイマーがあり、画面をロックしても再生できます。
眠れないときは、布団の中にいたほうがいいですか?+
睡眠の専門家は一般に、長い時間眠れず、イライラしてきたら、いったん布団を出ることをすすめています。薄暗い場所で静かに過ごし、眠くなったら布団に戻りましょう。続けるうちに、脳が布団と睡眠を結びつけやすくなります。
寝つきの悪さで、どんなときに病院を受診すればいいですか?+
ほとんど毎晩眠れない、数週間以上続く、日中の活動に支障が出ているといった場合は、医師に相談してください。大きないびき、息が詰まるような感覚、強い日中の眠気がある場合も同様です。医師は背景にある原因を調べ、CBT-Iなどの選択肢についても相談に乗ってくれます。
